パンのフェスは、メロンパンのフェス。
パンブームが長く続くなか、各地でパンのイベントが催される。パンフェス、パンフェスタ、あるいはパンフェア。名前は様々だが、パン好きにとって、そこはまるでパンの天国。
そんなパンフェスでお気に入りのメロンパンばかりを買い集め、自分だけのメロンパンフェスにするのもメロンパンの楽しみ方。イベントによってはハード系のパンが多くメロンパン少なめのこともあるのだが、ぜひ日程をチェックして足を運んでみよう。
今回は、2016年に初開催されて以降、人気のイベントとなった「パンのフェスin横浜赤レンガ」からメロンパンをチョイス。コロナの影響で昨年は中止となっていたが、久々の開催だった。
メロンパニストにとって、パンのフェスはメロンパンのフェス。
(#) メロンパン情報 (#)
(手前右) 麻布十番モンタボー「麻布十番メロンパン」
(手前左) パンパティ「メイプルメロンパン」
(真ん中) ブーランジェリーアツシ「いちごみるくメロンパン」
(奥右2つ) ボンジュール神戸「こだわりメロンパン」「抹茶の豆乳メロンパン」
(奥左) LITTLE BY LITTLE「生食メロンパン」
and いーすとけん。マスコット「サモメロン」
「オムライスの秘密 メロンパンの謎」
「オムライスの秘密 メロンパンの謎 ~人気メニュー誕生ものがたり~」
2017年1月28日発売。この書籍は、2013年に刊行された「ニッポン定番メニュー事始め」(澁川祐子著、石黒謙吾編集)が、新潮文庫から出版されるにあたり、タイトルが変更されたものです。
「定番料理のルーツに迫るコラム 全28本」が掲載されており、カレー、餃子、牛丼、ナポリタン、インスタントラーメン、コロッケ、お好み焼き、冷やし中華、モンブラン、からあげ、しゃぶしゃぶ、ちゃんぽん、オムライス、生姜焼き、メロンパン、とんかつ、肉じゃが、ショートケーキ、クリームシチュー、焼き肉、日本のアイス、焼きそば、ハヤシライス、シベリア、タコライス、エビフライ、あんパン、天丼。今こうして28品の名前を眺めているだけでお腹が空いてきます…。
私の場合はタイトル買いでして。ライフワークである「メロンパン」の文献としておさえておかなければ、ということでさっそくAmazonから予約。
分かってはいたことですが、メロンパンの項目は、300ページのうち10数ページほどです。タイトルとしては「ニッポン定番メニュー事始め」の原題の方がぴったりと体を表していると思います。ご購入される方は、オムライスとメロンパンの内容だけがびっしり詰まっているとお間違えにならないよう注意されたい。
とは言え、改題の際に、28品の中から選ばれた2品のひとつがメロンパン。ということは、それだけ今メロンパンが人気ということなのだろうだし、編集部の会議か何かで「タイトルに“メロンパン”はマストでしょ~」みたいな(※想像です)ことで決まったのであれば、メロンパン好きとしては喜ばしいことかも知れません。
本が届いてから、まずはじめに「メロンパン」のページを、うんうんとうなづきながら目を通し、次に、「はじめに」を読みました。順序、逆。
巻頭には、日本では新しい食材や料理に、従来の料理をヒントに手を加えたりして自分たちのものにしてきた、そのようにして定番となったメニューの歴史を探る本である、ということが書かれています。
なるほど、と思わされたのは「文献によってできるだけ事実をあきらかにしようと努めた」のだそうです。「“元祖”とされる店から直接話は聞かない」という方針を立て、客観的な取材と検証をしたということ。メロンパンでタイトル買いした私でも、食わずぎらいせずにメロンパン以外もちょっと見てみようか、という気持ちにさせられます。食べたいメニューから順に読んでみるのも美味しそう、いえ、楽しそうな一冊です。
さて、肝心の「メロンパン」。副題に「固い皮の中は謎だらけ、メロンパンの形はどこからやってきたのか」と付けられ、メロンパン界隈ではすでにご存知の方も多い “東のメロンパン 西のサンライズ” “丸型のメロンパン 紡錘型のメロンパン” などの話題について綴られています。内容は詳しく書きませんが、10数ページなので非常にコンパクトに分かりやすくまとまっています。ぜひ、知っておくと面白い知識です。
本著の特色は、過去の文献や証言などから「メロンパンの謎」をできるだけ明らかにしようと試みていること。メロンパンに関しては、その発祥も名称もいくつかの説があり、「謎」のままではあるのですがー。
ああ、だからそれがタイトルなのかなぁ。メロンパンはいまだ謎だと。